【vol.9】仕入バイヤーの目利き力

今回は「仕入れ」について”バイヤー目線“でお答えいただければと思います。よろしくお願いします！

お手柔らかにお願いします。

さっそくですが、まずは「仕入れ」とはどのようなものか教えてください

仕入れとは、他社メーカーさんから商品を購入し、当社のお客様へ販売することを指しています。
現在では、年間約15～20種類程度の商品群で仕入れを行っております。

キスベビーは自社で企画開発からデザイン、生産管理など
「ものづくり」を行うベビー用品メーカーですが、
いったいどのような商品を仕入れていらっしゃるのでしょうか？

現在仕入として取り扱っている商品では2つのパターンがあります。

ひとつめは、日本製の素材・品質にこだわりのある商品です。
日本国内でひとつずつ手作業によってつくられる「木製メモリアルケース」や「ベビー肌着」などは
発売開始以来ご好評をいただいており、KISSBABYオリジナルデザインで展開しています。

こだわりのある高品質な天然素材を使用していたり、作り手さんの想いが込められているので、
生産できる数も少なくなってしまうのですが、
日本製ならではの「想い」や「こだわり」をお届けすることを一番に大切にしています。

ふたつめは、ベビーの成長には欠かせない衛生・ケア商品です。
具体的には「まあるい天然石鹸」や「塩素とります」「SOMALI」などなど。
ベビーの身体に直接触れるものだからこそ、
科学的に研究を重ねられ、信頼あるデータに基づいた”ベビーに優しい商品“のみを取り扱っています。

こちらの「ソマリハンドソープ」は内祝いやプチギフトにも人気で
ベビーだけでなくおじいちゃんおばあちゃん、ペットのいるご家庭の方にも重宝されています。

どちらのパターンでも、専門性が高く素材の材質や性質をプロの目線で見極め、
用途によって使い分けたものづくりを行う必要があるので「仕入れ」という形で展開しています。

なるほど。どんなものでも仕入れて商品ボリュームを増やすわけではなく、
厳選された選りすぐりの商品だけを取り扱っているのですね！
どれを選んでも、プレゼントなどの贈り物やご自宅用に間違いなさそうです。

こだわりの詰まった商品を見つけ出すことは、一見とても難しそうに思いますが、、
いったいどのようにして探し出しているのでしょうか？

まずはお客様が何を求めているかを深堀し、
その目的に合った商品を「こんなものがあればいいな」という気持ちで探し当てていくイメージです。

お客様が求めるものは、市場ニーズや需要に見合うものなのか、
はたまたこの世にまだ浸透していない未知数のものなのか。
長年の経験で培ってきた直感力とコミュニケーション力で発想を広げ、少しずつ道筋を立てていきます。

目的を深堀しないと、自分では「びびびっ」ときた商品でも提案するとなかなかうまくいかない事が多いです。（笑）
コミュニケーションで心がけていることは、
相槌や返答で話しやすい空気を作り、自分のことよりも相手の話を引き出すことを大切にしています。
大体2割が自分・8割が相手の話のイメージですね。
（（空気が悪い！やばい！））と思ったときは、
相手が興味のある話題を膨らませられるよう、状況をみて臨機応変に対応しています。
趣味や嗜好・ご家族の話など、仕事以外のことでも関心を寄せ話題を掴むように意識しています。

さすが！バイヤーさんはどちらかというと”センス“が大事なのかと思っていましたが、
こういった見えない努力があったとは知りませんでした。
お客様が“本当にほしいもの”を見つけ出すプロということですね。

情報社会において、「トレンド」というものが超特急で移り変わる時代となりました。
以前と比べてどのような変化があると感じていますか？

私がこのベビー業界に来た約10年ほど前と比べると、
「店舗」の在り方が大きく変わったと感じています。

以前は、何かが欲しい時・見つけたいときはまず店舗に行って、
欲しいもののコーナーを見つけ出し、陳列された商品の中から
パッケージや店頭ポップ、もしくは店員さんからの情報を頼りに商品選びを行っていました。
そのため、各社アピールポイントや使い方を盛り込んだパッケージにしたり、
いかにお客様に手に取ってもらうかを工夫していたように感じます。

しかし、情報社会になった今、スマートフォンの普及により、お客様の購買行動は大きく変わっています。

欲しいものがあるとき、まずは自宅で情報収集。
インスタグラムなどが一番の例ですよね。探せば有益な情報が山ほどに出てくる時代です。
その中で、自分の目的や用途に一番近しいものを選別していく。
そして、ある程度何を購入するか意思を固めたうえで、最終確認のため「店舗」へ向かう。
商品の外観には情報を盛り込む必要がないので、
シンプルな見た目・トレンド重視のパッケージに注力する企業が増えてきています。
いまでは、いかに情報を発信するかを各社工夫しているように感じています。

購入する”商品“が同じであったとしても、
「店舗」や「企業」の在り方は常に変化していく必要があります。

“変化”を恐れない姿勢こそが、いち早くトレンドをキャッチする秘訣なのですね。

経験や感覚に捉われず、常に新しいものへの探求心が必要となる業務だと思うのですが、
ご自身の中で一番大切にしている心構えなどはございますか？

お客様に喜んでいただくのはもちろんのことですが、
同時に仕入元の作り手さんの想いも大切にすることを心がけています。
ベビー業界ではなかなか見かけない商材であったり、難しいものでも
“本当に良いもの”を届けたいの一心で二人三脚・切磋琢磨して一緒にがんばっています。
そういった試みがきっかけで産業自体が盛り上がればいいですね。

仕入れの商品にはたくさんの人の想いが関わっているからこそ
より一層魅力的に感じるのですね。

最後に今後の展望をお聞かせください。

今まで数々の商材を扱ってきましたが、なかなか自身の満足に繋がるまでは遠い道のりでした。
これからはひとつずつの商品にもっと時間をかけて、育てることに注力できればと思っています。
お客様にも、作り手さんにも喜んでもらえるような大ヒット商品を生み出せればうれしいですね。

今後の動向もますます気になりますね！
ご対談ありがとうございました！

こちらこそ楽しかったです。ありがとうございました！